ICHIJIKU BLOG

ものづくりが好きなフリーライター。書くことにしがみつきながら今日も執筆中。 WEBは「ヤフーライフマガジン」「ぐるなび」雑誌は「MONOQLO」 「samuraiELO」などなどで書いています。

潔く自責した友達はかっこよかった。

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中途社員の面接をしている人事の知人がいてこんなことを言っていた。

 

「前職を辞めた理由を面接では必ず聞く。

そのときに

『希望する部署で働かせてもらえなかったので』

『直属の上司とソリが合わなくて』

と答えられることが多い。

そう他責に考えている人はだいたいオトすね。

 

 

辞めたいって感じたってことは必ず

そこにネガティブな思いはあったと思う。

でもこっちは愚痴を聞きたいわけではない。」

 

じゃあなんて返したらいいのさ、と人事担当に模範解答を聞いたところ

 

「前職ではこんな環境にいた。

その中でこんな自分の強みを見つけたので

ここでその強みを活かすためここで働きたい。」

だそうだ。

 

模範解答を滞りなくスラスラ答えられる人間もそれはそれでつまらなさそうだけど、

確かに、何かハプニングが起こったとき「他責」にする人間とは一緒に仕事はしたくない。

 

と言っても、以前は私もそうだったんだけど。

 

 

十代のころ、アイドルみたいな活動をしていた。

ライブハウスにもちょくちょく出ていた。

私とシンガーソングライターの友人で組んだ二人組のグループだ。

踊ったり、芝居を挟んだり、弾き語りをしたり、と

だいぶ混沌としたステージを毎回繰り広げていた。

 

その日のライブも例に漏れず

弾き語りの曲が終わったあとに、オケでダンスをする曲に移行する段取りがあった。

ライブハウスのスタッフに「この曲が終わったら、キーボードを舞台横にハケてください」

と事前に伝えていたが、ライブハウススタッフがすっかり忘れていたようで変な間が空いた。

少し経ったあと、そのことを思い出したライブハウススタッフが血相抱えてステージに上がり

キーボードをかたした。

言わずもがな、ライブのテンポは少し狂った。

 

ライブが終わって私は「なんであそこで忘れるかな」と愚痴をこぼしたら

一緒に舞台に経った友人は隣で「しょうがない。自分たちがちゃんと伝えなかったのが悪い」

ときっぱり言った。

 

え、いや、軽くだったかもしれないけどリハで伝えたし、あっちはそれが仕事じゃん…と文句を続けたくもなったけど

そう言い放った友人があまりに潔くてかっこよくて、ゴクンと、言葉を飲んでしまった。

私たちは、次のライブからスタッフには転換作業をくわしく丁寧に伝えるようにした。

 

「自責」と「他責」。

他人のせいにできたら、そりゃ気持ちいいかも知れない。

自分は悪くないのに、向こうがこんな態度だったから、こんな結果になったよ。

もう最悪。不運だった。裏切られた。ハズレくじを引いた私、かわいそう。

 

他人のせいにする、ということは思考停止になることと同じだ。

その先に成長はない。

その一方で自責は、未来に繋がるエキスをはらんでいると思う。

 

ただ

自分のせいにして落ち込んでいる様は他人から見たら不快かもしれない。

「また卑屈になって」と言われることもあるかもれない。

自分を責めすぎて心が荒む危険性もある。

なすすべもなく、天災に襲われるように哀しい出来事に見舞われることもある。

だから

 

ルールは

体験を教訓に昇華できるエネルギーが残っている場合に限り

なるべく自分の中でその経験を調理するようにすること。

 

そのほうが

直立不動で愚痴を漏らしているよりずっと良いのでは。

 

と色々思いを巡らして、結果を提示したかったけど、

私はあの日見た友人のかっこいい横顔に憧れているだけだ。

 

わたしは彼女になれるわけではないので

「まためそめそ卑屈になって」と小馬鹿にされながら

やっていくしかないんだろうけど。

 

いちじく舞

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